パキスタンはたびたび中古車輸入規制を行い、日本からの中古車の輸出量の増減が激しいことでも有名な国です。
それまでは中古車輸出が出来ていた車両でもある日を堺に輸出できなくなってしまったというケースも・・・。
さらにパキスタンは原則的にビジネスの中古車輸出を禁止しているため、他の国と比べて少々事情が変わってきます。
そこでこの記事では現在のパキスタン中古車輸入規制についてお伝えしていきます。
2024年現在のパキスタンの中古車輸入規制は以下のとおりです。
パキスタンはヨーロッパと違い、日本と同じように道路は左側通行なのでハンドルをわざわざ左ハンドルに変更する必要もありません。
車齢制限は車種によっても異なりますがたびたび3~5年の間で変更されています。
これだけを見るとパキスタンは非常に輸出のしやすい国に見えますがここでひとつパキスタン特有の問題があります。
冒頭でもお伝えしたようにパキスタンは原則としてビジネスでの中古車輸入を禁止しています。
なので、原則としてパキスタンに持ち込める車両は個人の車両となってしまうわけです。
しかし実際は2023年度には約27000台ほどの中古車が日本からパキスタンに輸出されています。
なぜビジネスとして中古車輸入規制されているパキスタンにそれほど多くの車両が輸出されているのか?
それはパキスタン特有の制度にあります。
パキスタンはビジネスとしての中古車輸出は禁止ですが、以下のように個人レベルでの特例がありますのでその仕組をうまく活用して現地の輸入を可能にしています。
在外パキスタン人が2年に1度、パキスタンにいる家族に中古車を含む自動車を送ることができる制度
在外パキスタン人が2年に1度、パキスタン国内に中古車を含む自動車を持ち帰ることが出来る
海外就労を終えた在外パキスタン人が帰国する際に中古車を含む自動車を持ち帰ることが出来る
上記の特例を活用することで中古車や自動車を日本からパキスタンに輸出することが可能になります。
当然ですがパキスタン現地に輸入特例を活用できるビジネスパートナーが必要になります。
2年毎に中古車を輸出するというのはスパンが長すぎてビジネスにならないと思うかもしれませんが、それでも在日パキスタン人は日本の中古車オークションで車両を仕入れた後に自国に輸出を続けています。
詳しい内容まではわかりませんが、パキスタン人全員が上記の特例を実際に活用して中古車を輸入しているわけではありません。
なので上記の特例を実際には使わない人も大勢いるわけです。
そこで実際には権利を使わない人から権利を売買して活用しているようです。
これにより現地のバイヤーはあくまでも個人として中古車輸入を継続的に行っているというわけです。
これまでもお伝えしてきたように日本からパキスタンへの中古車輸出は可能です。
ただし、ビジネスとしての輸入が禁止されているため、ギフト・スキーム特例を活用するしか方法がないので現地に輸入に詳しいビジネスパートナーがいることが条件になります。
さらに目まぐるしく変わる輸入規制に対応する必要がある割には輸出台数がそこまで多くないことを考えるとメリットが少なく思えるかもしれません。
さらに日本国籍を持って日本で生活しているパキスタン人も多く、すでにそれぞれのパイプを持っているため日本人が日本にいながら新規開拓でルートを見つけるのも困難といえます。
パキスタン国内に輸入されている日本の中古車のほとんどが、在日パキスタン人を経由して輸出されているものと言えるでしょう。
2024年現在は輸入規制は緩和されていますが、国内情勢やパキスタン政府によって輸入規制が急に変わることはありえます。
2022年のときに行われた輸入規制のときは約10ヶ月ほどは輸入規制が続きました。
万が一、現地バイヤーから依頼された中古車を仕入れたあとに輸入規制がされた際は損失をどれだけ抑えられるかが大事になってきます。
仕入れた車両は再度中古車オークションなどに出品する必要があるが、陸送費や出品料などの経費はかかってしまう上に、輸入規制された車両の相場は下降しがちなので結果的に損失を負ってしまうことも少なくありません。
パキスタンの輸入規制を事前に察知するのは困難なのでそういった意味でも中古車輸出する際には気をつけるべき国と言えます。
パキスタンに限らず、中古車輸入規制が急に変わってしまう国はたくさんあります。
せっかく仕入れを行った車両が輸出できなくなってしまったら大きな損失を抱えることになりますので、中古車輸出を行う仕向地の国内情勢や政府の動向などはできるだけ情報を集められるように常に目を光らせておく必要があります。
現地バイヤーに直接情勢を聞くのもひとつの方法です。
中古車輸出をやるうえで各国の輸入規制は非常に重要なポイントですので損をしないよううまく立ち回っていきましょう。